平和学習資料②:【現代核兵器事情Q&A】

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【現代核兵器事情Q&A】
 
≪ 質 問 ≫
 
Q1. 核兵器は現在、世界に何発くらいありますか?また、核兵器を持っている国はどこですか?

Q2. 「核抑止力論」とはどういう内容でしょうか?

Q3. 世界で、これまで核実験は何回行われましたか?
また、世界の主な核実験場の場所と、どこの国が行ったかも答えてください。
 
Q4. 部分的核実験停止条約」(PTBT)と「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の違いや内容を説明してください。
 
Q5. 核拡散防止条約」(NPT)とはどういう条約でしょうか?
保有5か国とそれ以外の国との違いも比べて、条約の内容を説明してください。
 
Q6.「非核地帯条約」とはどういう条約でしょうか?
世界にある、さまざまな「非核地帯条約」の違いや内容も一緒に説明してください。
 
Q7. 核兵器をめぐってアメリカとロシアの両政府の間で締結されている条約にはどんなものがありますか?
「中距離核戦力(INF)全廃条約」も一緒に説明してください。
 
Q8. 核兵器禁止条約」とはどういう条約でしょうか?
また、2019年現在日本政府はこの条約に賛成して批准(ひじゅん)していますか?
 
Q9. 『ICANとはどういう団体でしょうか?
ICANが、ノーベル平和賞に選ばれた理由と一緒に団体の内容を説明してください。
 
 
Q10. 非核三原則」とは何でしょうか?
あなたは、日本で「非核三原則」は守られていると考えますか?
 
 
≪ 解 答 例 ≫
 
 出典: (※)は『2019ひろしまレポート』:公益財団法人日本国際問題研究所 軍縮不拡散促進センター
               他は断りのない限り広島平和記念資料館3階メディアテーブル』より 
                       2019年11月17日作成: Hiroaki        
    
A.1万3865個。(20191SIPRIストックホルム国際平和研究所 より) 米、露、英、仏、中 + 
                            パキスタン、インド、イスラエル北朝鮮
A2.核を持つことによって対立する相手国と共にお互いに核を使うのを抑える戦略の一つ。
   参考情報:2009年にチェコプラハでのオバマ大統領の演説によると「核兵器のない世界」を求めて 
   はいるが「核兵器が存在する限り核兵器による抑止を維持する」     
A3.1945年~2016年で2055回:核爆発実験回数表(外務省 軍縮不拡散・科学部編集『日本の軍縮
                    不拡散外交〈第七版〉』)より
   米:1945716日のニューメキシコ州アラモゴードでの核実験を皮切りにネバダ、マーシャル諸島 
   (ビキニ環礁、エニウェトク環礁他)、クリスマス島     
   英:クリスマス島、モンテペロ諸島,  仏:ムルロア環礁,   旧ソ:セミパラチンスク 
A4. PTBT ・・・ 大気圏内、水中、宇宙空間での核実験の禁止(1963年に米、ソ、英)しかし地下実験は
         禁止していなかったので条約の実質効果は無かった。
   CTBT ・・・ 地下実験も含む核爆発を伴うあらゆる核実験の禁止(1996年に国連総会で採択されたが
         米、中、パキスタン、インド、北朝鮮等の発効必要数の44か国がが批准していない為
         2019年現在未発効。日本は批准済み)又、核爆発に至らない臨界前核実験やコンピュー
         タによるシミュレーション実験は禁止していない。
A. NPT条約 ・・・5保有国以外の国の核兵器の開発と保有を禁止するとともに核保有国には核軍縮
         渉の義務を課した条約。(1968年成立1970年発効)核不拡散・核軍縮原子力平和利用が三本柱。
   参考情報: NPT条約における核保有国(米、露、英、仏、中)の定義/ 196711日前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国。(NPT93項)
A6.非核地帯条約 ・・・  特定の地域の国々が核兵器保有などを禁止し、核保有国がその地域への核攻撃をしないこと(消極的安全保証の供与)を約束する条約。<5核保有国の中で米だけトラテロルコ条約は未批准。(※)より>
   ①1967/ トラテロルコ条約:ラテンアメリカ、カリブ非核地帯条約:1962年のキューバ危機がきっかけ。 中南米33か国参加。
   ②1985/ ラロトンガ条約:南太平洋非核地帯条約:オーストラリア、ニュージーランド他:仏の核
         実験がきっかけ。核兵器だけでなく平和目的を含めた全ての核爆発装置の禁止と放射性物質、廃棄物投棄の禁止。     
   ③1995/ バンコク条約:東南アジア非核地帯条約:冷戦の終結がきっかけ。東南アジアの10か国参加。
 ④1996/ ペリンダバ条約:アフリカ非核地帯条約:南アフリカ核兵器廃棄がきっかけ
   ⑤2006/ セミパラチンスク条約:中央アジア非核地帯条約:ソ連の核実験による被害と、核保有
         のソ連、中国に挟まれている地域であることがきっかけ。カザフスタンキルギス、タジキス
         タン、トルクメニスタンウズベキスタン中央アジアの5か国参加。            
   ⑥1992/ モンゴルが「一国非核の地位」を国連総会にて宣言。(※)より
 
A7. 中距離核戦力(INF)全廃条約 ・・・ 射程500~5500キロメートルの地上配備の弾道ミサイル巡航ミサイルを全廃する条約。
     1972/ 第一次戦略兵器制限交渉 ・・・ 大陸間弾道ミサイル、潜水艦ミサイルの上限制限。      
     1987/ 中距離核戦力全廃条約(INF条約
      1989/ 冷戦終結マルタ島沖の艦船上で米、ソ、宣言)
     1990/ 核弾頭数 ・・・  米: 10563 ソ: 10271
     1991/ 第一次戦略兵器削減条約(STARTⅠ) ・・・ 長距離弾道ミサイルについての削減。
      2001/ 核弾頭数 ・・・  米:   5946 ソ:  5518
     2010/ 新戦略兵器削減条約(新START):核弾頭数を1550以下へと。
     2019年(2月)/ 米、露、INF条約破棄(米の中国牽制の意図有)
A8.  核兵器禁止条約(TPNW) ・・・  (2017年国連で採択、しかし2019年現在、未発効。また、日本政府は批准していない。)
「核爆発実験」の禁止を定めたCTBTとは異なり、TPNWでは「核実験の禁止」が規定されており、これには核爆発実験以外の実験も含まれると解釈し得る。ただし、これに関する検証措置などはTPNWには規定されていない。(※)より。また、核実験の被害者に対する援助及び環境の回復も規定されている。
 参考情報:
     『TPNWは、永続的な世界的核軍縮を達成するために克服しなければならない重要な問題に取り組
     んでいない。それはNPTと矛盾し、NPTを危険にさらす恐れがある。国際的な安全保障の文脈や
     地域的課題を無視し、国家間の信頼と透明性をまったく高めるものではない。それは1発の兵器も  
     廃棄する結果をもたらさないであろう。不拡散の最高水準を満たすものでもない。国際的な不拡
     散・軍縮機構の分裂を作り出し、軍縮のさらなる進展をより一層困難にし得る/ 5核保有201810月の共同声明』(※)より
 
A9.  ICAN(International Campaign to Abolish Nuclear Weapons核兵器廃絶国際キャンペーン/アイキャ
ン) ・・・  1980年に米、ソの医師が呼び掛けてできた「核戦争止国際医師会議(IPPNW/1985年ノーベル平
和賞受賞」の会員が、「地雷禁止国際キャンペーン(ICBL/1997ノーベル平和賞受賞」の主導で対人地雷全面禁止条約(オタワ条約露、中、インドは未締約国)を成立させた事をヒントに呼び掛け、2007年に国境を越えて非政府組織の市民団体が外交に参加し若い世代が中心となって設立した。
 「核兵器の使用がもたらす破滅的な人道上の結末への注目を集め、核兵器を条約(TPNW)によって禁止するための革新的な努力をしてきたこと」により2017ノーベル平和賞受賞。  
 (核兵器のない世界をめざして平成30年度核兵器廃絶市民講座報告書)/ 核兵器廃絶長崎連絡協議会,より)
 
 A10. 『核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず』との原則のこと。
 参考情報:1967/ 『核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず』の非核三原則によ佐藤栄作1974ノーベル平和賞受賞。
        1972/ 「核の脅威に対しては米の核抑止力に依存する」と閣議決定した。
        2009/ 沖縄に核兵器が持ち込まれていた事実が明らかになった。
              核兵器を持ち込ませず」に法的な拘束力は無い。
        2013年/ 「国家安全保障戦略」として閣議決定した。